ハングル検定 上級受験者 インタビュー vol.1
上級 1級受験者 ゆうほ様
大学時代に韓国語に出会い、ハングル検定5級から一段階ずつ各級に合格し、現在1級合格を目指し日々学習をしているゆうほ様に、韓国語の学習についてインタビューしました。
お話しいただいた韓国語の学習を始めたきっかけや、SNSを使って発信されているご自身の学習方法について、他の学習者の皆さまにも学習のヒントとしていただきたく掲載いたします。ぜひご一読ください。
-韓国語を勉強したきっかけはなんですか?
大学時代に韓国人留学生と仲良くなったことがきっかけです。私の大学では第二外国語を履修する必要があったので、その友人との距離をもっと近づけたいという思いで韓国語を選びました。
勉強を進めると、韓国語には日本語に訳しきれない表現や言葉が数多くあることに気づきました。それと同時に、友人が母国語(=韓国語)でしか捉えることのできない物の見方や価値観を持っているのではないかと思うようになりました。韓国語特有の微妙で繊細なニュアンスを学ぶことでその友人への理解をより深めたいと思い、気づけばそれがモチベーションのひとつとなっていました。
生まれた時から日本語だけで生活してきた私は、外国語の習得は一部の特別な人だけが出来るものだと思っていました。しかし、大学に入ると周りの友人は皆当たり前のように複数の言語を使いこなしていました。留学生の友人の多くは、日本語はもちろん、英語も自然に話している。それが私にとって衝撃でした。「外国語の習得は特別なもの」というこれまでの考えがいかに浅はかであったかを痛感しました。同時に「頑張れば私にも出来るかも?」と思えるようになりました。このカルチャーショックが私の学習意欲を後押ししてくれました。
-韓国語の学習歴について教えてください。
大学入学後に勉強を始めたので約10年です。大学時代にハングル検定5級を取得し、在学中に3級まで合格しました。社会人になってから数年は忙しさのあまり勉強から離れていましたが、ある程度仕事が落ち着き学習を再開。久しぶりの学習で何から始めたらいいか分からなかったので、とりあえず何か目標を立てようと思いハングル検定準2級を目指しました。準2級に合格後はTOPIKにも挑戦しました。その後、努力の甲斐あってTOPIK6級とハングル検定2級に合格し、現在1級に挑戦中です。
-資格試験を目標にした理由はなんですか?
大学時代に韓国語の先生がハングル検定の存在を教えてくださいました。「せっかく大学の授業で習ったのだから単位以外にも学習した証が欲しい」と思い5級を受験しました。猛勉強の末、なんとか合格することができました。努力した結果が「合格」という形で目に見えるのが嬉しくて嬉しくて「次は4級を受けよう。4級が受かったら3級を受けよう。」というように次のレベルを目標とし、気づいたらのめり込むように勉強していました。自分が挑戦したことに対して、あなたはこの基準に達しているよというのを合格というかたちで証明してもらえると達成感を得られ、学習継続のモチベーションに繋がりました。
-ハングル検定の1級を目標とした理由はなんですか?
最初から1級を目標としていたわけではなく、ひとつ高いレベルの級を合格していくうちにハングル検定1級の挑戦にまでたどり着きました。「ハン検1級は韓国語界のラスボス」と言われていますが、ついにラスボスを倒すところまで来たか……いう感じです(笑)。
5級~2級までは出題レベルが階段状になっていて、受験者にとって簡単過ぎないように難し過ぎないように本文や選択肢の難易度調整がされているように感じました。しかし、1級は違いました。出題範囲制限なしの試験。難しさが突き抜けていました。
-受験までの過程と、受験してみての感想を教えてください。
学習を続けて10年以上、昔も今も、目標に向かって学習する楽しさはずっと変わりません。大学時代は、ハン検合格のため毎朝9時に図書館へ行き、朝勉することが習慣になっていました。授業の空きコマも暇さえあれば勉強していました。社会人になった今も、休みの日や通勤時間、家事の合間に勉強を続けています。
全ての級を受験してみての感想ですが、ハングル検定はひとつの級を合格してから次の級に挑戦するまでのレベル設定が絶妙だと感じています。届きそうで届かない、学習者を奮い立たせる難易度設定になっています。
今は1級合格を目指して合格トウミや過去問を使って勉強しているのですが、ドラマを見たり、ラジオを聞いたり、小説を読んだりしていると、ハングル検定に出題されている上級単語が本当に面白いくらいゴロゴロ出てきます。1級を目指すことで、韓国語をマスターするために必要な勉強がきちんと出来ていると実感します。
勉強する過程で新しい単語に出くわすと、これはどんな意味なんだろうとワクワクドキドキします。知らない単語との出会いは新しい知識を得るきっかけになるので「難しい」や「分からない」は大歓迎です。韓国語を勉強すること自体楽しくて大好きなのはもちろんですが、問題を通して、常に新しいワクワクとドキドキを与えてくれるハングル検定は、今や私の韓国語学習になくてはならない存在です。
-ハングル検定の出題について、何か感じることはありますか?
私は以前、教育関連の企業で教材を作っていたこともあり、質の高い問題を作ることがいかに難しいかをよく知っています。
ハングル検定の問題は1問1問に魂がこもっていて、問題作成者の熱意が伝わってきます。各級解いていて「難しい、だけど楽しい」のバランスが絶妙です。これだけ質の高い問題を作ることは想像以上に大変だと思いますが、これからも受験者の期待に応え続けていただきたいと思っています。
ハングル検定1級は「難しすぎる」「マニアックすぎる」との声もありますが、私は実用的で良心的な試験だと思っています。トウミや過去問の表現が、ドラマ・ラジオ・小説に頻繁に登場することがそれを証明しています。難しすぎるのは間違いないのですが、どの問題も「実用的」というラインを絶対に逸脱しません。「言葉は使うためにある」という問題作成者の強い意志を感じ、胸が熱くなります。
個人的でわがままなお願いとなりますが、どうかこれかもハングル検定1級の「ラスボス」としての威厳を守り続けてください。「難しすぎる」「マニアックすぎる」などの声に左右されることなく、この先も変わらず、最難関であり、韓国語学習者のラスボスとして、その道を突き進んでほしいと願っています!
-使っている学習教材や学習方法について教えてください。
協会の本では合格トウミと公式過去問題集を使っています。トウミは、書籍と、書籍をデータ化しiPadに取り込んだもの2冊を使い分けています。取り込んだデータのトウミには書き込みをしますが、書籍の方には一切書き込みをしません。試験当日に配られる問題冊子は、当たり前ですが、何の書き込みもされていない、まっさらな状態のものです。自分が書いたメモや補足情報がなくても、すぐに単語の意味を分かるようにしておく必要があるので、紙のトウミには何も書き込まないようにしています。
最近はマラギ(スピーキング)にも力を入れています。話した言葉は目に見えないものなので、文字に書き起こして、見える化するようにしています。自分の読み上げた文章を録音し、ノートに書き起こしてみると、話し方の悪い癖や、よく間違えてしまう文法など、自分の弱点が分かってきます。録音と文字起こしは少し手間がかかりますが、自分の言葉を客観的に聞くことで間違いに気付くことができますし、それを直そうとする意識が芽生えるので、身になる勉強だと思います。
また、童話や昔話、ニュースや小説など、幅広く色々なジャンルの文章に触れるようにしています。通勤時は毎日ラジオを聞いて、お昼休みはお弁当を食べながら韓ドラを見ます。家では好きなKPOPアイドルの曲を聴きながら家事をして、時々一人でカラオケに行って、心ゆくまでKPOPを歌ったりもします。わざわざ時間をとって机に向かわなくても、身の回りのありとあらゆるものが学習教材になると思っています。
学習には、iPadを活用しています。単語には画像や絵をつけて、イメージで理解できるよう工夫しています。例えば、日本語では説明が長くなってしまったり、訳を読んでもすんなりと理解ができない単語があったとします。そういった場合に、画像検索で拾ってきた写真を添付したり、理解した内容を絵にまとめたりしています。
iPadの学習には、「GoodNotes」というアプリを使っています。先ほど紹介した画像の挿入などもスムーズに出来ますし、録音機能もついているのでとても便利です。例えば、ノートに書き写したドラマのセリフやスクリプトに、録音した音声を張り付けて、シャドーイングやオーバーラッピング用のノートを作っています。紙のノートでは時間や手間がかかりそうなことも一瞬でできるので、本当に役立っています。
-chatGPTを活用した韓国語学習方法について教えてください。
chatGPTで一番よく使うのが、例文作りです。私は例文のなかで単語を覚えることを大切にしているのですが、例文を探したり、作ったりするのは意外と時間がかかります。そこでchatGPTにお願いするわけです。chatGPTは「〇〇という単語を入れて」「◯文字程度で」など、条件を指定することもできますし、「もっと他の例文がみたい」と言えば、いくらでも作ってくれます。
他にも、似ている単語の使い分けを聞くことも出来ますし、会話文や長文の選択問題も作ってくれます。テーマ・レベル・文字数も自由自在に設定できるので、いくらでも活用出来ます。
ただ、chatGPTが与えてくれる情報が、完全に正しいわけではないようで、時々しれっと嘘をついてきます。ですが、どこに間違いが隠れているのだろう?と注意深くなるので、むしろ、韓国語の文章を深く読む練習になっています。
自分のやりたい勉強に集中できるよう、AIに任せられるところは積極的に任せてしまってよいと思っています。どうすれば効率よく身につくのか、あれこれ考えて、試しながら日々学習をしています。
-ハングル検定1級に合格出来たら、次の目標はありますか?
1級に合格するまでまだまだ時間がかかりそうですが、もし合格できたら、次の目標も変わらず1級合格になると思います。1級は、一度受かったとしても次回は受かるか分からないくらい難しく、奥深い試験だと思っています。合格し続けることで、韓国語能力にさらに磨きをかけたいです!2次の面接試験の常連になって、面接官から「この人また来た!」と思われるくらいハン検を極めたら、今よりだいぶ韓国語が上達しているのではないでしょうか。
また、このインタビューを通して、もうひとつ新たな目標が出来ました。それは、学習者をサポートできるような発信者になることです。実は以前からぼんやりとそうなれたらよいなと考えていました。なかなか自分の学習に自信を持つことができなかったのですが、本日のインタビューで「ゆうほさんの話や発信は、必ず学習者の役に立つ」と協会の方から嬉しいお言葉をいただけたので、これからは今以上に積極的に情報発信をしていこうと思いました。
-どんな人に語学学習を勧めたいですか?
新しい趣味が欲しい方には、ぜひ語学学習をお勧めしたいです。外国語を学ぶことで見える景色は、異世界、いや、異次元を見るようで、なんとも言えない喜びや楽しさがあります。勉強すればするほど、認識できる言葉の範囲が広がり、見える世界が鮮明になっていくのが本当に不思議で楽しくて。例えるなら、最初は色でしか認識できなかった物体が、ドット絵になり、滑らかな絵になり、ハイビジョン、4K、8Kのように、どんどん解像度が上がっていく感覚です。
最近は無料や定額で楽しめる動画コンテンツが充実していますし、漫画や本なども、スマートフォン一つで手軽に楽しめます。その反面、語学は習得に時間がかかりますし、自分の頭で考えなければいけないことが多くコスパが悪いとも言えます。ですが、語学には、言葉のもつ味わいを噛み締める「じわじわとした楽しさ」もありますし、できるようになった瞬間の「爆発的な楽しさ」も併せ持っています。もちろん、学習したことは全て自分の身になります。過程も結果も全て楽しめることが、語学学習の醍醐味ではないでしょうか。
また、語学学習は自分に自信を与えてくれるので、精神的な支えにもなっています。たとえ会社で上司に怒られたりしても、心の中で「私は韓国語ができるんだぞ!」と思っていれば、気持ちが沈むことはありません。笑
-学習している方々と共有したい想いはありますか?
語学を取得するにあたり、資格試験にもどんどんチャレンジしてほしいと思います。そのレベルに達するまで受験時期を待つのではなく、ええい!と先に申し込むことを強くお勧めします。受けると決めると、勉強に対する意識が変わりますし、目標が明確になることで、自分の実力が何倍にも引き上がると思います。これは私が実証済みです!
試験を受けるまではいかなくとも、最近はドラマ・映画・ウェブトゥーン・KPOPなど、学習に役立つ良質なコンテンツがたくさんあるので、それらを活用するのもよいと思います。身構えたり、堅苦しく考えず、気軽にどんどん楽しんでほしいです!
-ハングル検定へのご意見、ご要望はありますか?
合格トウミの単語リストに、通し番号を付けていただきたいです。今はページ番号でしか進捗管理ができないので、番号が振られていることで、より細かい学習計画が立てられると思います。また、左ページが単語、右ページはノート欄にして、例文や補足が書き込めるようしてもよいと思います。もう少し欲をいうと、トウミの文法の章だけでも、例文をつけていただけたら嬉しいです。